平均への回帰
何か特別なことが起こったとして、それが永遠に続くことはありません。
コイン投げで10回連続表が出たとしても、その後もずっと表が出続けることはないのです。
このコイン投げのように、結果に偶然の要素が作用する事象はすべて、良くも悪くも必ず普通の状態に戻ってきます。
つまり、ものごとは平均へと回帰していくのです。
例えば、一年目に優れた成績を残した新人が翌年も同じような成績を残すことは難しい(二年目のジンクス)ものですし、ある年に悪い結果を残したベテランが翌年には復調してくる、というのはよくあることです。
もっともらしい理由付け
平均への回帰はいたるところで見られる現象ですが、私たちはそれに何か納得のいく理由をつけずにはいられません。
昨シーズン絶好調だったスポーツ選手が今シーズン調子を落としたのは調整に失敗したからだ、
昨年不振にあえいでいた企業が業績を回復させたのは大胆な社内改革をおこなったからだ、などなど。
しかし、本当はそこに理由などありません。
面白くもなんともない話ではありますが、それはただ平均に回帰した、それだけのことでしかありません。
平均への回帰に原因などないのです。
良いことばかりではないけれど、悪いことばかりでもない
人生は思うようにいきません。
それは偶然の要素が強くかかわっているからです。
私たちは自分の人生を自分の力で生きていると思いがちですが、いつどこでどのように生まれ、どんな環境で育ち、何に出会い何を学び、何を手に入れ何を失うか、そのすべては偶然の要素に支配されています。
そして、結果に偶然の要素が作用するものは必ず平均へ回帰していくのでした。
つまり、人生には楽あれば苦もあるのです。
ですので、つらいことがあったからといって悲観に暮れる必要はありませんし、良いことがあったからといって調子に乗るのもよくはないでしょう。
それでも、世の中を見渡せば永続的な貧富の差はありますし、平和に暮らす人々もいれば人生の大半を戦乱の苦しみの中を生きる人たちがいるのも事実です。
大切なのは、苦しいときこそ希望をもち、良い時には驕ることなく謙虚に、そうやって前向きに生きようと努力をすることです。
参考:ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?
行動意思決定論 バイアスの罠
マインドセット「やればできる! 」の研究
TRAIN-TRAIN