実践知(フロネシス)とは
実践知とは、規則(ルール)に縛られずに、状況に沿った的確な判断を下すための知恵を意味する言葉です。
実践知がある人は、倫理(人として守るべき道理)的な観点から規則に例外を作り、その場に合った対応をすることができる、というのが特徴です。
目の前に困っている人がいたとして、規則がその人を助ける行為を縛っている状況において、私たちはどのように行動するでしょうか?
たとえば、授業中や職務中の私語が禁止されている状況の中で、苦しげな表情でいかにも体調が悪そうな人が近くにいるとき、規則は規則だと考えて見て見ぬふりをする人もいれば、規則にとらわれずに大丈夫かと声をかけ、何かできることがないかと手を差し伸べる人もいるでしょう。
どちらが良い悪いの問題ではありませんが、規則に従って行動するとき、私たちは考えることを放棄しているだけなのかもしれません。
人助けは相手の為だけではなく、自分のためにもおこなう
現代社会では自分の幸せを追求することが推奨され、ルールが課せられていないような状況であっても、無償で人を助けるという行為がなされることは少なくなっているかもしれません。
しかし、基本的に人は他者へ何かを与えることに幸せを感じるようにできています。
それに他者を助けておけば、巡り巡って自分によい報い(むくい)が返ってくることもあります。
自分のために人を助ける、というのはなんだかずるい気もしてしまいますが、
日本には「情けは人の為ならず(情けは人のためではなく、自分のためにかけるのだ)」という立派なことわざがあります。
ルールばかりに気を取られるのではなく、その場に合った行動ができるよう、実践的な知恵を身につけておくことは、自分の人生を豊かにしようとするうえで決して悪いことではないでしょう。
参考:TED(バリー・シュワルツ「実践的な知恵の発揮」)
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