アイメッセージとユーメッセージとは
人に行動の変化をうながしたいとき、そのメッセージの伝え方には二つの方法があります。
- ユー(YOU)メッセージ:相手の行動に対して、どう変化して欲しいのかを直接伝える。
たとえば、遅刻を繰り返す相手に対して「(あなたは)いつも遅刻ばかりで迷惑だ、もう遅刻はやめてくれ。」
勉強をしないわが子に対して「(あなたは)勉強しなさい!」
と「相手」を主語にしてどうしてほしいのかを伝えます。
- アイ(Ⅰ)メッセージ:相手がとった行動に対して、自分がどう思ったのかだけを伝え、それによって行動の変化をうながす。
たとえば、遅刻を繰り返す相手に対して「(私は)遅刻をされるとあなたに何かあったのではないかと心配になる」「(私は)遅刻をされると悲しい気持ちになる、その日の予定も楽しめなくなる」
勉強しないわが子に対して「(私は)勉強しないとあなたが授業についていけなくなるのではないかと不安になる」「(私は)勉強することは大切だと思っている。勉強ができれば世の中を理解する力が身について、あなたの幸せにつながると信じている」
と「私」を主語にして自分が思ったこと、感じていることだけを伝えます。
相手を変えるメッセージはどちらか?
ユーメッセージは相手に対し具体的な指示を出すのに対し、アイメッセージでは自分の思ったこと、感じたことしか伝えません。
一見するとユーメッセージのほうが相手に行動の変化を起こさせやすいように見えるかもしれませんが、言われた方は非難または命令されているように感じるため反発されやすくなります。
仮に相手が言われたとおりに行動していても、しぶしぶ従っているだけで根本的な解決にはなっていないという場合もあるでしょう。
一方、アイメッセージは自分の気持ちを伝えるだけにとどめ、あとは相手の行動を待ちます。
すると言われた方は自発的に考えるようになります。
その結果起きた行動の変化は、その場しのぎの一時的なものとは違うため、元の問題行動は繰り返されにくくなります。
アイメッセージは非常に効果的ですが、使いこなすのはなかなか難しいかもしれません。
相手にビシッと言ってやりたいという感情を抑え、相手のことを考え、その人のためになる言葉を選び、行動の変化を温かく見守る、というのは想像以上に大変な作業です。
ユーメッセージは感情に任せて言いたいことを言うだけなので簡単ですし、私たちが普段使い慣れているのユーメッセージでしょう。
今度はアイメッセージで伝えよう!と意気込んでも、すぐ反発したり言い訳もしてくる相手に対し、ついつい「あーしろこーしろ」と感情的に指示したくなってしまうかもしれません。
ですが相手が自分にとって本当に大切な存在、家族や恋人や仲間であるなら、自分を抑えて言葉を選ぶことは可能なはずです。
それに何事も慣れが必要です。
何度かアイメッセージとユーメッセージの間を行ったり来たりするうちに、アイメッセージのうまい伝え方や使いどころが見つかるでしょう。