【賢明な子育て】結局どんな子育てが正解なのか?

子ども skill-技術

賢明な子育て

子育てに悩む親は多いものです。

優しく育てるべきか、厳しく育てるべきか、または本人の自主性を尊重して自由に育てるべきか、

それぞれ長所もあれば短所もあり、迷うところです。

しかし、現在の研究が示す子どものためになる子育てとは、「温かくも厳しく、子どもの自主性を尊重しながら、その子の成長段階に合った高い水準を要求する」という方法です。

結局はバランスが重要なのです。

とはいえ、子どもに降りかかる困難を何でも親が解決してあげたり、何でもないことをむやみに褒めたり、声を張り上げて怒鳴ったり、暴力をふるったり、

世の中のことがまだわかっていない子どもに、やるべきことを自分で決めさせる過度な自主性を与える、

というような極端な方法は、どれも子どもにとって深刻な負の影響をもたらす可能性があるため、バランスのとり方にも注意が必要になります。

このようなバランスを考えた子育ては「賢明な育て方」と表現されますが、これを実行するのは簡単なことではありません。

子どものことを第一に考え、成長段階に合った愛情と自由を与えながらも、子どものために適切な限度を示す、それにはそれ相応の知識と知恵が必要になります。

子どもへの問いかけ

子育てにおいて、親から子へどのようなメッセージを送るかは大切なポイントですが、親の言い分を押し付けるのではなく、子どもがどう考えているのかを聞いてあげることはより大切です。

なぜなら、親が送るメッセージの内容そのものよりも、子どもがメッセージをどのように受け取っているかのほうが重要だからです。

子どもに対して、「あなたはどう思う?」「君ならどうする?」「なんでそうなると思う?」と状況に応じて問いかけ、教えたこと、または学校などで教わってきたことをどのように理解しているか確認してあげましょう。

時には「どうしたら世の中はもっとよくなると思う?学校で習っていることで、そのために役立ちそうなことはある?」など、社会的な視点をもてるような問いかけをすることも有効です。

子どもに自分の気持ちや物事の背景、パターン、社会の問題へ目を向けさせることができれば、問題解決のスキルや目的意識、学習意欲が向上します。

努力をほめる。才能はほめない。

子どもをほめてあげるのは愛情を示すという意味でも大切なことですが、そのほめ方によって子どもに与える影響は大きく異なります

成功した時に努力をほめ、失敗した時には努力が足りなかったとさとし、どうすればよかったのかを一緒に考えてあげれば、子どもは失敗を恐れず成長を志す人間に育つ可能性が高まります。

しかし、成功した時に才能があるとほめ、失敗した時に頑張っただけえらいなどと気休めの言葉をかけ続けると、子どもは才能を信じて成長を信じない、失敗を恐れて何かにチャレンジする心をもたない人間に育つ可能性が高くなります。

ほめて伸ばすはいずれ効かなくなる

子どもに対してほめて伸ばす方法が通用するのは、ある程度の段階までです。

ですので最終的に成長するための意欲は、子供自身の中から湧き出てこなければなりません。

つまりは自分でやりたいことを見つけ、自らその方法を考え実行する、自律性(自分を律する)を育むことが大切です。

大切なのは、なぜ自律性のある人間に育ってほしいと願っているか、親が信じていることを語り、それに共感してもらうこと、そして何が重要であるのかを教えることです。

たとえば、学業に励む子に育てたいのなら、学業に励むことが人を立派な大人に成長させ、人生を幸せなものにすると信じている、など、そうなってほしい理由を語り、学業全般の重要性を教え、高校や大学に進学して欲しいという期待をはっきりと伝えるのです。

お金やプレゼントでやる気を引き出そうとするのは危険

子どものやる気を引き出すために、親はあれこれ手を出したくなるものです。

そして手っ取り早く、お金やプレゼントでやる気を引き出そうとすることもあります。

この方法は強力であり、子どもに何かの関心をもたせたいとき、その初期の段階で使用すると大きな効果を発揮します。

また、機械的な繰り返しを必要とするルーチンワークなどでも、この方法は有効です。

しかし、その効果は一時的であり、また限定的なものです。

なぜなら、人が自らやる気をもっておこなう取り組みや、創意工夫が必要な活動に金銭などの外的報酬を与えると、与えられた人はその活動に対する本心からの興味を失う、ということがわかっているからです。

さらに、外的な報酬を約束された人の脳は、コカインやニコチンを摂取した人と同様の反応を見せるといいます。

これが繰り返されると、刺激物に対する依存症にかかった人と同じく、外的な報酬を得ることを目的に、短絡的でその場しのぎの活動にしか意識が向かない人間になってしまいます。

つまり、子どものやる気をお金やプレゼントで操作し続けようとすることは、その子の自律性や創造性を奪ってしまう結果になるのです。

子どもに自らやる気を引き出す人間に育ってほしいと願うのであれば、簡単で楽な方法論にたよらず、子どもがもつ成長したいという人としての普遍的な願望と向き合い、時間と労力をかけ、子どもが正しく自律性を発揮するまでの期間、その子と真剣に向き合うことが大切になります。

失敗を恥ずかしいと思わせない

チャレンジには失敗がつきものです。

そして子どもにとってはほとんどのことが初めてのチャレンジで、そのためたくさんの失敗を繰り返します。

ここで注意が必要なのは、子供の失敗を前にしたときの、私たち大人のリアクションです。

子どもは大人の反応をよく見ています。

自分が失敗したことに対して、大人が示す負の感情をともなったリアクション(眉をひそめたり怒ったり)に触れ続けると、子どもは失敗は悪いことで恥ずかしいことだ、という概念を学んでしまいます。

そして、失敗を恥じるようになった子はそれを恐れ、何かに全力でチャレンジすることを止めてしまうようになるのです。

大人が失敗に対して悪感情を抱いてしまうのはある程度仕方がありませんが、そのじつ私たち大人も気づかないだけで日常的に失敗を繰り返しています。

ですが失敗するのはチャレンジしたからです。

であるならば、失敗は当然のことと受け止め、チャレンジしたこと自体を認めてあげた方が子どもの成長にとって有益でしょう。

なによりも失敗は成功のもとです。

失敗から目をそらさず、何が失敗につながったのか、成功するにはどうすればよかったのか、反省し改善することの大切さを子供に教えてあげましょう。

 

ちなみに、失敗を叱ることでパフォーマンスが改善したかのように見えることもありますが、そのからくりは単純です。

出来るはずのことが出来ない、つまり稀な事象が連続しておこる可能性は低い、というだけのことで、叱ろうが叱るまいが次はちゃんとできた可能性が高いのです。

 完璧な親などいない

どんなに子どもの健全な成長を願っていても、つねにそのための完璧な振る舞いをできる親などいません。

夫婦が共働きをし、祖父母と離れて暮らすことが当たり前になった現代社会においては、そもそも子どもと向き合える時間が圧倒的に不足しています。

ですので、手っ取り早く子どもをモノで釣ろうとすることや、失敗をとがめることはしょっちゅうあるかもしれませんし、時には言うことを聞かない子どもに対して声を張り上げ、駄々をこねる子に手を上げてしまうこともあるかもしれません。

仕事や家事によるストレスから、自分を怒らせた子供への腹いせに、その子の言葉を無視して存在を否定してみたり、子どもの前で夫婦が口汚く罵り合う、なんてこともあるでしょう。

しかし残念ながら、そういった行為はどれも子どもの心を深く傷つけ、健全な成長を妨げてしまう可能性があります。

ですが、その傷ついた子どもの心に気づいてあげることができれば、親も子どもと共に成長できるはずです。

親といえど一人の未熟な人間です。完璧な親、完璧な人間など存在しません。

親として間違いをおかした時は、見栄を張らず素直に間違いを認めたほうが、子どもの成長のためになるはずです。

子どもの親の行動をマネするという本能は強力です。

賢明な子育ては、賢明な親、またはそうなろうと努力する親が実行するからこそ成立します。

親が向上のための努力をせずに、口先だけの教育をおこなっても、いずれ子どもに見透かされてしまうでしょう。

参考: GRIT やり抜く力毒になる親
マインドセット「やればできる! 」の研究
GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」
超一流になるのは才能か努力か?
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