イノベーションはどのように広まっていくのか
イノベーションとは、新たな価値を想像し社会に変革を起こすことをいいます。
そしてイノベーションは、「イノベーション普及の法則(イノベーター理論)」に従って、世間に一気に広まることはなく徐々に浸透していくと考えられています。
なぜならイノベーションを採用する人間は、下記の5つのタイプに分けられるからです。
- イノベーター(2.5%):導入者。自らもアイデアを提案し、新しいものには飛びつく。
- アーリーアダプター(13.5%):初期採用者。アイデアを提案することはないが、新しいものが大好き。
- アーリーマジョリティ(34%):初期多数派。だれかが試した後、評判が良ければ取り入れる。
- レイトマジョリティ(34%):後期多数派。世間の半数が認めたものを受け入れる。
- ラガード(16%):遅れる(人)。新しいものを自ら認めることはない。それを認めるしかない状況になって初めて認める。
このように人のタイプを分けて見てみると、流行に敏感な人もいれば、いつまでも過去の価値観を大事にする人もいる、というのがなぜなのかよくわかります。
単純に性質が違うのです。
一見するとイノベーターやアーリーアダプターのような、イノベーションを率先して採用する人たちには先見の明があり、いかにも聡明な集団であるかのような印象を抱くかもしれませんが、そうではありません。
イノベーションは新しい価値であるがゆえに、どんなリスクが隠れているかわからないのが難点です。
もし何かのリスクが顕在化してそれが失敗に終わったとき、ラガードなどの新たな価値を受け入れられない偏屈な出遅れ組が、一転して賢明な人たちであったことになります。
そもそもイノベーションを起こすかすかもしれない新たな価値は日々生まれていますが、何が真のイノベーションとして世間に根付くかは後になってみないとわかりません。
さらに私たちは、イノベーションの種類によってどのタイプの人間になるかが変わります。
例えばテクノロジーが好きな人はその分野のイノベーターやアーリーアダプターになるかもしれませんが、ファッションに興味がなければその分野ではラガードになるかもしれません。
イノベーションを起こしたいのなら
もし自らが新たな価値を創造し、イノベーションを起こしたいと望むのならば、誰をターゲットにするかが重要になります。
通常ターゲットにしてしまいがちなのは、数的に集団の中心であるアーリーマジョリティ(34%)とレイトマジョリティ(34%)ですが、この層はだれかが試して評価が確定した後でなければその価値を受け入れません。
多数派を相手にする限り、多大なコストをかけた割に、よくてそこそこの成功しかおさめることはできないでしょう。
ターゲットにするべきは少数派のイノベーター(2.5%)とアーリーアダプター(13.5%)です。
この少数の層にあなたの生み出す新たな価値が認められれば、その後は自ずと多数派も受け入れだします。
そしてイノベーターやアーリーアダプターは、新たな価値そのものではなく、それを生み出す人間の理念や信念に共感できるかどうかをポイントにしています。
大切なのは、新たな価値によって何ができるのかを語ることではなく、なぜその価値が必要なのか、少数派の人たちにあなたの信じていることを示し、それを信じてもらうことです。
参考:WHYから始めよ