エコンとヒューマン
合理的な判断をくだすのはいつだって難しいものです。
それでも、つねに合理的な判断をくだし続けることができる、という空想上の何かは存在しています。
その存在は「エコン」とよばれています。
エコンとは、経済学において定義される「合理的経済人」を揶揄した言葉で、エコン=エコノミー(経済)+ヒューマン(人)が語源です。
経済学では、人は合理的なエコンとして行動することを前提に理論が構築されています。
しかし、エコンと人間(ヒューマン)は下記のようにまったく違う生き物です。
- エコン:合理的で利己的、一貫した選好をする経済主体。
- ヒューマン:合理性に欠き、完全に利己的という訳でもなく、好みはころころ変わる。先のことは予想できず、明日のことさえなかなか見通せない。
私たちはもちろんヒューマン(人間)です。
ヒューマンは、その時の感情や気分、直前に触れた思い出しやすい情報などによって行動が変わるため、いくらエコンのように合理的な行動をしようとしてもうまくはいきません。
それにもかかわらず、エコンのように常に合理的判断をくだせると錯覚している人たちが大勢います。
自分が合理的であると錯覚することはむしろ不合理です。
ヒューマンならヒューマンらしく、合理性に欠く自分を理解し、たびたび起こす間違いや失敗に学び、人としての成長を目指した方が、よっぽど合理的な判断に近づくことができるでしょう。