【モノの見方】は人それぞれ!あなたには目の前のリンゴがどのように見えていますか?

りんご viewpoint-視点

世の中には変わった考え方をする人がいるなぁと思うことがある一方で、

自分がまわりと違う考え方をしていて、えっ自分だけ?と戸惑うことはあないでしょうか。

考え方は人それぞれ、それは当たり前のことですが、その違いは想像以上かもしれません。

リンゴの見え方

目の前にリンゴが一つあるとします。
そのリンゴはどのように見えるでしょうか。
そしてそのリンゴから何が想像できますか。

リンゴが赤く熟していれば、白くて甘い果肉、蜜や果汁、シャキシャキした食感、あるいは程よい酸味がイメージされて、食欲がそそられます。

リンゴに詳しい人は、サンふじ・つがる・紅玉(こうぎょく)・ジョナゴールドなどの品種を見分け、味や食感の違いをイメージすることも可能でしょう(日本には約2,000種ものリンゴがあります)。

リンゴが嫌いな人は、その食感などをイメージして顔をしかめるかもしれん。

農薬の問題に関心がある人は、無農薬や有機栽培かを気にするでしょう。食べるときは、まるでワックスでみがかれたみたいにベタベタしたリンゴの皮を、ゴシゴシと洗ったりむいたりするかもしれません。

しかし、このベタベタはリンゴが自分で分泌する油であり、しかも不飽和脂肪酸という健康によい油です。

リンゴが油をまとう現象は「油あがり」とよばれ、食べごろのサインでもあります(油あがりは品種によって差があります)。

それを知っている人は、このピカピカきれいに光ったリンゴをさっと水洗いしただけで皮ごとかぶりつくでしょう。 

リンゴを見て、食べるのとは別のことを連想する人もいます。

幼いころに見た絵本の「はらぺこあおむし」が、リンゴをむしゃむしゃ食べるのを思い出した人は、少しのあいだ童心にかえるかもしれませんし、家庭がある人は家で待つ我が子のために絵本を買って帰るかもしれません。

もしくはリンゴ・スターというビートルズのドラマーを思い出し、数々の名曲が頭の中に流れ、青春時代の感傷にひたることもあるでしょう。

宗教家や宗教に関心がある人は、旧約聖書の創世記に出てくる禁断の果実をイメージするかもしれません。

そこからアダムとイヴの物語に思いをはせ、イヴをそそのかして禁断の実を食べさせたヘビを憎むでしょうか。

ここから失楽園を連想すれば、少々危ない方向に連想が膨らむ可能性もあります。

リンゴからアップルという企業もイメージする人もいるでしょう。

アップル好きならアップル製品の魅力について、そしてその基礎を築いたスティーブ・ジョブスという凄腕の経営者や、ウォズニアックというAppleⅠコンピューターを独力でつくった一流のエンジニアについて、思いをはせたりします。

リンゴが木から落ちることで「万有引力の法則」を発見したとされるアイザック・ニュートンを思い出す人もいるでしょう。

ニュートンが本当に木から落ちるリンゴを見て万有引力の発想を得たのかは定かではありませんが、この逸話からニュートンを連想すれば、本当の意味でニュートンに影響をあたえたであろうガリレオ・ガリレイやコペルニクス、ケプラーといった偉大な天文学者を思い起こし、宇宙について思いを巡らせるかもしれません。

あるいは万有引力によって発見された重力を連想し、「相対性理論」を提唱したアルベルト・アインシュタインのことを考え、アインシュタインでも答えを出せなかった量子の世界(原子よりも小さな極小の世界)についての思索にふけるかもしれません。

はたまたリンゴから出てくる陽気な家族をイメージしては日曜夕方の憂鬱さを思い出し、リンゴとペンをイメージしてはパイナップルを思い出すこともあるでしょう。

ここにあげたこと以外にも、世の中にはたくさんのリンゴにまつわるエピソードがありますが、リンゴ一つにもこれだけ違った見方があります。

つまり、世の中の見え方は人それぞれ相当に違っているのです。

見え方の違いは考え方の違い

ものの見え方の違いは考え方の違いに直結します。

私たちは人がどう思っているのか考えることがありますが、基準になっているものの見方がおそらく想像以上にずれているため、完全に相手の考えを理解することは不可能です。

逆にいえば、相手に自分の考えを完全に理解してもらうことも不可能でしょう。

このことを理解しておくのは大切です。

そうでないと、自分の考えが周囲とずれていたり、自分には理解不能な考え方の人と出会ったりしたときに、必要以上にショックを受けてしまいます。

ですが、世の中の見え方は人によってぜんぜん違うと知ってさえいれば、この状況を楽しむことも可能です。

なぜ自分は人とずれた考えをもっているのか、わけのわからないあの人にはいったいどのように世界が見えているのか、少し興味がわいてきませんか?

だれかに興味をもち、その人のことを理解したいと思ったときは、その人がどのように物事を見ていてどのように考えているのか、話をじっくりと聞くことが大切です(このとき自分の見方や考え方で話をさえぎらないのがポイントです)。

きっと自分の世界では見られない、おもしろい発見があるはずです。

それとは逆に、自分の考えをだれかに本当に理解してもらいたいときは、なぜそう考えるのかを含めてしっかりと話をしたほうがよいでしょう。

みんな当然そう考えているだろうと思っている前提は、ほとんどの場合自分がそう思っているだけでまったくあてになりません。

ただ、自分の考えを完全に理解してもらうのは前提の前提のそのまた前提まで話したところで難しいものです。

結局はみんな違うふうに世の中を見ているんだと割り切って、あまり悩まずに生きていくのが楽なのかもしれません。

***

ものの見方を鍛え、考え方を強化する方法もあります。

さまざまなことについて興味をもって学ぶのです。

知っていることが増えれば増えるほど、世の中が今まで見えなかった形で見えるようになってきます。

学ぶとういのは面倒くさいことですが、自分をレベル上げするようにゲーム感覚で取り組むと、案外楽しめるものです。

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