知識と理解の違い
知識と理解、同じような意味の言葉ですが、この二つの言葉には下記のような違いがあります。
知識:知っていること
理解:知っていることの内容、意味をわかっていること
つまり、ある物事についての知識には明確な答えがあり、正解・不正解がありますが、その知識をどう理解しているかは人によって違う、ということです。
例えば、「経済の知識がある」という人と、「経済を理解している」という人がいたとします。
「経済の知識がある」という人に対して、「どのような知識がありますか?」と聞けば、ミクロ経済やマクロ経済、行動経済学などについて、調べさえすればだれにとっても共通の答えが返ってくるはずです。
しかし、「経済を理解している」という人に、「どのように理解していますか?」と聞けば、その答えはその人独自のもの、人によって違いがある、まさに千差万別の答えを聞くことができるでしょう。
なぜなら、理解とは知識を自分の経験と結び付けることでもあるからです。
学んだ知識をどう活かし、どのような結末を見て、それをどう感じたか、その経験を積み重ねていくうちに、人それぞれ違った理解の深め方をしていくのです。
理解の仕方は人によって違う
知識は人々にとって共通ですが、理解はその人の経験と結びつく以上、ある物事について私たちが同じように理解をすることはほとんどないでしょう。
それゆえに、考え方や意見、価値観は人それぞれ違っていて当然です。
それなのに私たちは、ある知識に基づいた理解はみな共通しているはずだと思ってしまいがちです。
そして、自分と違う理解を間違ったものとし、そういう考えをもつ人を敵対視してしまうこともあります(そもそも人の脳は自分と違う意見を警戒するようにできています)。
そんなとき、相手を説得しようとしたり、意見を戦わせようとすることもありますが、たいていの場合は失敗に終わります。
しかし、同じ知識でもどう理解しているかは人によって違う、ということを知識として知っておけば、理解の違いに苦しむことを減らせるかもしれません。
大切なのは、自分の理解だけが正しいと思わず、相手がどのような理解をしているかを聞き、学べることは学ぶことです。
そうすれば、その経験を元に自分の理解はますます精錬されたものになっていくでしょう。