人格は成長し続ける
ほとんどの人は人生経験を重ねるにつれ、より誠実で勤勉になり、協調性や思いやりが増し、穏やかになっていく、ということがわかっています。
つまり人格(人柄・パーソナリティ)は、社会的によいとされている方向に成長していく傾向にある、ということです。
このような傾向は「成熟の原則」とよばれ、人の性格を研究した数多くのデータによって確認されています。
成熟の原則による変化は、思春期を終えた成人期以降、特に20歳から40歳で起こるとされていますが、一生を通じて人格の成長が止まることはないといいます。
人格が成長しない人もいる
人は時間とともに成長していくものですが、すべての人がそうだという訳ではありません。
長く生きていはいますが、誠実でも勤勉でもなく、協調性や思いやりに欠け、情緒不安定で心配性、という具合に、成熟の原則とは真逆の傾向を示す人たちもいるのです。
このような人たちには、自分の感情を識別したり言語化したりすることが困難で、体の痛みや不調に気がつきにくく、人の内面よりも外面に関心があり、反省することが苦手、
それでいて自分の怒りには敏感、というような特徴があります。
まさに未熟であり、成熟とは正反対の状態ですが、そうなってしまうのにはさまざまな原因があると考えられており、単純に本人が悪いという話でもなく、また改善するのも難しい問題です。
その人の未熟さを改善しようとまわりが助言や指摘をしたとしても、反省することが苦手で怒りには敏感なため、それを受け入れて成長する、ということはほとんど期待できませんし、むしろ逆ギレされてしまう可能性もあります。
そういった人を相手にすると気力も体力も奪われてしまうため、どのような距離感で接すればいいのか悩むところですが、そういう人もいる、ということを知識として持っておくことは大切でしょう。
そもそも人の性格はみなそれぞれ違っていて、そのために人格の成長の仕方にも違いがあります。
ですので成熟の原則から外れ、成熟しない、という人がいるのも当然のことなのです。
参考: GRIT やり抜く力
パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる
パーソナリティ特性研究をはじめとする 個人差研究の動向と今後の展望・課題