【自尊心・自己肯定感・自己効力感、または肯定的幻想について】自分を認めるとはどういうことなのか?

自尊心 viewpoint-視点

自尊心とは

自尊心とは、細かい定義はさまざまありますが、文字通り解釈をすれば、自分を尊ぶ心のことです。

自尊心を高める方法として、自分を自分で認めてあげる自己肯定感を育む教育(ほめて伸ばす教育)が注目されています。

その結果として、意図せず世の中に浸透してしまったのは「何でもないことを祝福する手段」です。

しかし残念ながら、自尊心は能力に由来し、その逆ではありません

自分を自分で認めてあげたからといって何かができるようになるわけではなく、何かができるようになるからこそ自分を認められるようになるのです。

つまり、真の自尊心は、自分が望むもののために努力をし、その成果から得られる「自分はできるという」感覚、すなわち自己効力感によって培わると考えられます。

自己効力感を高めることができれば、学習やスポーツ、人間関係や仕事などにより自信をもって取り組むことができるようになり、その結果さらに自己効力感が増す、という好循環にいたることが可能になります。

自己効力感がない、中身のともなわない自尊心は、実はただの「うぬぼれ」である可能性があるため注意が必要です。

肯定的幻想

私たち人間の多くは、自分自身や世の中、そして将来について、かなり肯定的な見方をしています。

そのおかげで、自己肯定感は守られ、心の健康が維持されることもあります。

しかし、肯定的で楽観的な見方には何か根拠があるわけではなく、それはただの幻想である場合がほとんどです。

このようなよくある思いこみは、肯定的幻想とよばれています。

そして、肯定的幻想によって自分を実力以上の存在と思いこんでしまうことは有害であり、時に自己破滅的ですらあります。

肯定的幻想は、私たちを尊大で自己中心的、自己正当化に長けた人間にし、努力をないがしろにさせ、現実に成しえたはずの成果を小さくしまいます。

以上のことをふまえると、ただやみくもに自己肯定感を育もうとする教育が社会の中にいったい何を育んでいるのか、一度よく考えてみる必要があるかもしれません。

参考:GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」
内向型人間のすごい力
Newton別冊 ゼロからわかる心理学
行動意思決定論 バイアスの罠

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