【確率の無視(分母の無視)】なぜ人は当たらない宝くじの一等を狙うのか?

確率 bias-思い込み

確率は無視される

世の中で起きる多くのことは確率によって支配されていますが、私たちはその確率をうまく認識できません

それどころか、確率は無視される傾向にすらあります。

たとえば宝くじを買うとき、一等が当たって億万長者になれるかもしれないと期待しますが、その確率はおよそ500万分の1から2000万分の1です。

冷静に考えれば当たるはずがないとわかりますが、宝くじを買うときに誰もそんなことを気にしたりはしません。

一等が当たる人がいる、という事実だけが注目され、その確率(分母)は無視されるのです。

宝くじの1等当選金額が2~3億円規模の場合、当選確率は1000万分の1(1/10,000,000)ほどになりますが、その分子の1(一等当選)だけが注目され、分母の10,000,000(99.99999%の確率で一等はずれ)は無視されてしまうのです。

確率の無視がリスクを過大評価させる

宝くじで一等が当たるような、何かを期待する行為と同様に、何かのリスクを心配するときにも確率は無視されます

例えば、ニュースで何か悲惨な出来事が繰り返し流されると、人はそのリスクを極端に意識するようになります。

飛行機が落ちれば飛行機に乗るのをためらうようになり、世界的にテロが多発すればテロの脅威におびえ、感染症が流行すれば長い期間外出や人との接触を避けるようになるのです。

その理由は、情報が新鮮でインパクトがあり、思い出されやすいから、という単純なものです。

そのようなリスクに実際に遭遇し、さらには命を落とす確率を計算して自分の行動を選択する、などという面倒は避けられます。

そして、リスクは実際の発生確率よりも過大に評価されます

また、そのリスクのイメージが強烈で意識されやすければされやすいほど、「実際にリスクが発生したらどうするんだ!」の一言で、確率を計算し、それを元に行動を決定することは許されなくなります(トレードオフのタブー視)。

リスクの発生確率が1%(1/100)、0.01%(1/10,000)、0.0001%(1,000,000)と違えば、その確率ごとの対応の仕方にも違いがあるはずです。

しかし残念ながら、現実は人々の頭の中に思い描かれる印象のインパクトによって、リスクへの対応方法が決定されてしまう傾向にあるのです。

参考:ファスト&スロー
あなたの意思はどのように決まるか?

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